キャリアについての考え方

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目次

きっかけ

今回の転職(2 回目)を機に、自身のキャリアについての考え方をまとめておきたかった。 というのも、1 回目の転職のときとで、少なからず自身の考え方が変わっていることに気づいたためだ。

他の業界や職種の人にも当てはまるものかはわからないが、もしキャリアについて悩んでいる人がいたら、この記事が少しでも役に立ってくれれば嬉しいと思う。

一般的なキャリア形成の話

ビジネス書なんかでは、よくこんな図を見るんじゃないかと思う。 1

キャリア形成の 3 要素 キャリア形成の 3 要素

仕事をする上では、必ず「会社に求められること」、「(自分に)できること」、「(自分が)やりたいこと」というのついて回るが、 この 3 つの重なる部分が重なっている部分が大きいと仕事に対する満足度も高くなる、みたいなことが書いてあったと記憶している。

仕事をする上で、できることを増えていくのは当たり前だとは思うが、それにつれて会社が自身に求めるものも増えていくだろうし、 それが自分のやりたいこととピッタリ重なっていれば自ずと仕事は楽しいものになるはずだ。

仕事に対する満足度が高い状態 仕事に対する満足度が高い状態

これらを踏まえると、キャリアを形成する上では、上図のように 3 つの重なりが大きくなる方向に向けて行動すれば良いことがわかるので、 考えられるアクションは以下のようなものとなるだろう。

  1. 会社に求められること × できること
    • 会社に求められていることができるように、スキルを磨く
    • 自分のスキルが活かせる会社に転職する
  2. できること × やりたいこと
    • 自分がやりたいことの勉強をする
  3. やりたいこと × 会社に求められること
    • 自分がやりたいことを、会社に対してアピールする
    • 自分がやりたいことができる会社に転職する

また、どこの会社でもよく言われていることとしては、「3 年後、5 年後に何をしていたいか?」みたいな話があると思う。 当たり前な話だが、前述したようなアクションを取る上でも無計画は良くない。 きちんとゴールを決めて、「いついつ」までに「何」をやるみたいな計画は必要だ。

これらの考え方は、自分にとっても非常に理にかなっていて、過去に私が初めて転職した際には、 こういったことを自分なりに考えた上で行動に移したのを覚えている。

人々の働き方の変化とキャリア形成

ここ最近、人々の働き方が変わってきている。 終身雇用制は崩壊し、転職は当たり前になりつつある。 また、フリーランスや副業なども珍しく無くなってきていて、働き方にも幅が出てきている。

そうなった今では、自分の所属する会社に求められているものだけを目指していても不十分なのは明白だろう。 これらを考慮すると、昨今のキャリア形成を考える上では、既出の 3 要素に加え「市場が求めること」に目を向けることが、 重要だと考える。

キャリア形成の 4 要素 キャリア形成の 4 要素

ここでいう「市場が求めること」とは、取得が困難な資格だったり、英語が話せること、 もしくは新しく普及したテクノロジーに関する知識・経験であったりと様々だ。 一般に、転職エージェントや、企業のリクルーターなどが気にして見ているような 「社外の人間が客観的にその人を評価できる類のもの」だと考えてもらえれば良いと思う。

終身雇用制が無くなりつつある今、「自分が今いる会社でしか活躍できない人材になってはいまいか」という漠然とした不安に駆られている人も多いはずだ。 もちろん、自分が今いる会社と雇用契約を結んでいる以上、勤務時間内に自身の職務に対して責任を果たすのは大前提だ。 というか、給料をもらっている以上その義務がある。 ただ、もしそこに何らかの「余力」が生じている場合に、今以上に「会社に求められること」に注力して社内でさらに上の職位を目指すも、 「市場が求めること」に注力して自身の転職価値を高めるも、その人の自由なのだ。 さらに言うと、きちんと上司に相談し、そもそもの自身の今いる会社での職務の幅(つまり「会社に求められること」)を「市場が求めること」と交わる方向に広げてもらう調整まですると、 「自身の職務のため」という大義名分を得た上で、「市場が求めること」にも挑戦できて、会社と自分のお互いにとって Win-Win の関係となる。

自身の職務を「市場が求めること」の方向に広げる 自身の職務を「市場が求めること」の方向に広げる

また、キャリア形成において考慮すべきパラメータが増えたことによって、自身の目標を管理する周期も自ずと変わってくる。

「市場が求めること」の変化は、予想以上に速い。 (もちろん、この辺は業界にもよるとは思うが、全体として速くなってきているのは間違いないとは思う。) 例えばエンジニア職だと、私が社会人になった 5 年前の時点は、AI や深層学習といった技術にはあまりパッとしない印象を持っていた。 (もちろん技術的には面白そうではあったが、ビジネスに直結するようになるのはもう少し先の未来だと考えていた。) 一方で、現在のエンジニア職の募集要項を見た場合、ほぼ必須条件と言っていいほどに AI や深層学習についての知識・経験が言及されている。 他にも、ソフトウェア開発で使用されるライブラリなどを見ていても、2 ~ 3 年前には主流として使われていたものが、 平気で廃れてしまっている、などといったことも珍しくはない。 つまり、3 ~ 5 年単位での目標管理は、あまり意味をなさなくなってきていると、個人的には考えている。

ソフトウェア開発手法の一つであるスクラム開発では、2 週間程度の短い周期でリリースが行われる。 この「2 週間」という数字にはいろいろと意味があるが、統計上「人間の能力では 4 週間以上の予定を正確に管理することができない」 という事実が、背景にあると聞く。 4 週間以上先のことになると、人間はどうしても楽観的になりがちで、見積もりが甘くなってしまうらしい。

こういったことを鑑みると、目標は 1 ヶ月程度(約 4 週間)で見直し、「市場が求めること」やその他の要素を考慮しながら適宜調整するのが良いと思う。

目標管理の周期 目標管理の周期

短い周期で目標の見直しを行うことで、3 年 ~ 5 年経った時点で、当時立てた目標と、今の自分の目標が大きくずれているといった問題を未然に防ぐことができるはずだ。

おわりに

自身が今回転職した理由はいろいろあるが、基本的に前職は手を挙げれば自身の「やりたいこと」はやらせてくれる環境ではあったし、 「会社に求められること」も「市場が求めること」とそこまで離れてはおらず、とても良い環境だった。

ただ強いていえば、たまたま去年一年で自身の中で大きなブレイクスルーがあり、特に自分の「やりたいこと」が大きく変わっていったのを感じていたのに対して、 私がそれを会社側に伝える努力を怠っていたのが一番の原因だと思う。 会社側は、私が以前に伝えていた目標に対してきちんとキャリアパスを用意してくれていたのに対し、 自身がそれに応えられなかったのは申し訳無かったと思っている。

なお、本ブログの意図は転職を推奨するものではない。 転職はあくまでキャリア形成の一つの手段でしかなく、大事なのはキャリア形成における 4 つの要素を意識した上で、 それらの交わりを増やすために必要な行動を、短い周期で見直し、実践していくことの重要性が、本ブログで伝えたかったことである。


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